吊り橋効果の本当の意味と具体的な使い方について詳しく説明します
一般的な吊り橋効果について
吊り橋理論とはカナダの心理学者ドナルド・ダットン氏とアーサー・アロン氏によって1974年に発表された感情の生起に関する学説のことです。
一般的に「感情は解釈後に芽生える」と考えられていましたが、「本当は先に感情が発生して後から解釈が生まれるのではないか?」と考えたもので、感情が先であるならば間違った認知に誘導できる」と考えたのです。
つまり、これまでは
①事象:異性と出会う ⇒ ②認識:相手を魅力的に感じる ⇒ ③感情:ドキドキし始める
と考えられていましたが、本当は
①事象:異性と出会う ⇒ ②感情:ドキドキする ⇒ ③認識:相手を魅力的に感じていると認識する
ではないかと考えられたので、
それが正しいのであれば、
②を共通させてしまえば、①や③の内容をすり替えることができるのではないかと考えたのです。
そこで、ダットンとアロンの2人はカナダのバンクーバーにあるキャピラノつり橋で実際に検証を行いました。
実際に実験が行われた吊り橋
実験の内容は18歳から35歳までの独身の男性を集めて2つのグループに分け、
1つのグループには高さ70メートル、全長140メートルの揺れるつり橋(写真上)を渡ってもらい、
もう1つのグループには低い位置で全長も短く揺れない橋を渡ってもらい、
その両方で真ん中あたりで魅力的な女性に声をかけさせ、研究の為に意見が欲しいと言って電話番号を渡させました。
結果として、吊り橋のグループでは男性18人中9人が女性に電話をかけたのに対し、揺れない橋では男性16人中2人しか女性に電話をかけませんでした。
この実験から「揺れる橋を渡ることで生じた緊張感(ドキドキ)がその女性への恋愛感情と誤認された」と推測されたのです。
これによって今では「一緒にドキドキすると恋愛感情を持ちやすくなる」と考えられるようになりました。
世界最高の恋愛理論と本当の心理:マイナス効果
実は二人が行った実験は本来の仮説とは異なる心理を立証する実験となってしまいました。
これについては後に詳しく説明するとして、まずはあなたが知りたいであろう「吊り橋効果」について説明します。
マイナス効果
一般的に恋愛が上手くいった際の理由として吊り橋効果ではないかと考えられているものは「マイナス効果」になります。
マイナス効果とは、
人はマイナスな感情の時、物事に対してはマイナスな評価をしやすくなり、自分に接する人に対しては評価が過剰になる本能
です。
たとえば、嫌な気持ちの時に食べるご飯は美味しくないですし、嫌な気持ちの時に遊園地に行っても楽しいとは感じないですよね?
また、嫌な気持ちの時にお笑い番組を見ても全然笑えないと思います。
マイナス感情の時は物事がマイナス感情と関連付けられる※ために悪い評価をしやすくなってしまうのです。
※関連付けは脳の仕組み。脳の仕組みについて詳しくは別の機会に説明します。
つまり、嫌な気持ちの時は物事に対して悪い評価をしやすくなるということです。
ただし、マイナス感情の時は心身が弱わっているので、
①敵や危険に対する警戒心が高くなり、②自分を守ってくれる存在が重要となる為、
マイナス感情の時に悪い気持ちにしてくる人は平常時以上に嫌な感じに思えて、
マイナス感情の時に良い気持ちにしてくれる人は平常時以上に良く感じます。
たとえば、嫌な気持ちの時にいじわるされると本気でイラッとしますし、
逆に嫌な気持ちの時に優しくされるとめちゃくちゃ嬉しくなりますよね。
他の例としては、普段なら連絡をもらっても何とも思わなくても、寂しい時や心細い時に連絡をもらうと嬉しくなりますし、
普段ならあまり気にならない冗談でも、イライラしている時に言われると本気で嫌な気持ちになります。
このように、マイナス感情の時は他人が与えてくる感情を過剰に評価する傾向があるのです。
先ほどのダットン氏とアロン氏の実験でも「魅力的な女性」に「愛想良く」声をかけさせたので、「魅力的」「愛想(フレンドリー)」が増幅された為にそのような結果が出たと言えます。
裏を返せば、不細工に声をかけさせたり、愛想の悪い声のかけ方をさせていれば真逆の結果が出たでしょう。
つまり、一般的に言われている「ドキドキを恋愛感情と錯覚する」ということはなく※、吊り橋効果と考えられているものはあくまでマイナス効果となる為、正しいマイナス効果の使い方をする必要があるということです。
(※なお、恋愛感情を錯覚させる方法は別にあります。これについて詳しくは別の機会に説明します)
マイナス効果の具体的な使い方
では、マイナス効果の実際の使い方を吊り橋を例にとって説明していきます。
吊り橋を一緒に渡る際に相手が恐怖(マイナス感情)を感じている場合、
たとえば、こちらが吊り橋を揺らす、相手を驚かせる、いじわるするなどして相手がマイナスな状態の時にさらにマイナスにすることになるため、めちゃくちゃ嫌われやすくなります。
嫌なことをしてくる人(本能的に敵と判断) ⇒ 嫌い
それに対し、優しく声をかける、心配してあげる、励ましてあげるなどして相手がマイナスな状態の時にプラスにしてあげようとすると、めちゃくちゃ好かれやすくなります。
助けてくれる人(本能的に仲間と判断) ⇒ 好き
なお、これは仲間としての好きとなる為、異性として好かれるには異性としての魅力も見せていく必要があります。
たとえば、手を繋いであげてしっかりとした足取りで歩いて先導してあげたり(生きる力がある、男としての価値)、守るようなそぶりを見せてあげる(頼れる、男としての価値)ことで、異性としての魅力が増幅されるので好かれやすくなります。
実践例としては、手をしっかり繋いで「ドキドキするね※1」「見て、景色が綺麗だよ※2」と言ったり、相手が過剰に怖がっていたら「大丈夫だよ」と言ってギュッと手を握ってあげる※3ことで大きな好感を得ることができます。
※1ドキドキ(恐怖)を再認識させつつ、ノンバーバルから余裕や前向きさを感じさせることで生存能力が高いと感じさせることができる
※2景色を楽しむ余裕がある=生存能力が高いと感じさせることができる
※3「大丈夫だよ」という発言や「手を強く握る」という行動で守る意思を示唆することができる
(上記の例では手を繋ぐ方法を紹介しましたが、マイナス効果は相手に触れるかどうかは関係ありません。マイナス効果を上手に利用すれば初対面の美女に好きになってもらうことも難しくありません。実際に生徒が美女と付き合ったマイナス効果の応用法を別の機会に説明する予定です)
マイナス効果は吊り橋に限らず街中でのデートでも応用できるので「相手がマイナス感情の時にプラスを与える」というポイントを念頭に色々と実践してみてください。
あなたの恋愛の成功率が一気に跳ね上がるでしょう。